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ジェネラル・ルージュの凱旋/海堂尊

あれだけの大ベストセラーに対していまさらなことを言うようだけれど、「チーム・バチスタの栄光」の名作っぷりと言ったらなかった。

医師でもある筆者の専門知識に裏づけされた緊張感溢れる医療現場の描写と、個性的で独創的なキャラクタ達による超絶的に面白い丁々発止の会話劇。
そして最新医療の技術や問題意識も織り込みつつのリアリティある謎解きまで。

ただし、デビュー作が素晴らしく面白くてもその後の作品もクオリティを維持できる作家が少ないのもまた事実。なのだけど、次に読んだ「ナイチンゲールの沈黙」もこれまたよかった。
「チームバチスタ」ほどのダイナミクスはなく、ミステリ濃度も薄まっているけれど、もうその語り口やキャラクタ、そして抜群の会話劇だけでいくらでもページをめくらせる。
海堂尊という作家が、今後10年20年、エンターテインメント小説好きを楽しませ続ける才能である、ということがいま周知の事実となりつつあることが、読めば実感として分かってしまうのだから凄い。

そんなわけで個人的には海堂尊作品3作目に選んだのは「ジェネラル・ルージュの凱旋」。
他にもこの人の作品は、デビュー以来結構立て続けに発表されているけれど、あまり読書に割ける時間も少ない昨今、やはり安心できる「田口&白鳥」シリーズに手が伸びてしまう。

今回の主役はジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)の異名を持つ速水晃一、救命救急センター部長である。まあこのキャラクタが非の打ちどころがないくらいにカッコいい。いわゆる職人気質のプロフェッショナルな仕事人であり医療の未来を憂うロマンチストだ。
そしてその突出した才能・カリスマがいる場合の組織内の人間関係の細やかな機微が、もうどえらく上手くリアルに、それでいて小説として面白すぎるキャラクタ達によって描かれていて、読み始めたら止らない。

「俺はイカロスなんかじゃない。ヘリコプター一機、この空に飛ばすこともできないんだから」
「行動には危険がつきまとう。行動しない口舌の輩がよってたかって行動する人間を批判する。いつからこの国はそんな腰抜けばかりになってしまったんだ?」
「俺を裁くことができるのは、俺の目の前に横たわる、患者という現実だけだ」

上記はジェネラル・ルージュ速水のセリフたち。うーん。惚れ惚れするほどカッコいい。
また速水の異名「ジェネラル・ルージュ」の理由は、噂レベルで諸説あるのだけれど、物語中盤で明かされるその真実のエピソードがまためちゃくちゃにカッコいいです。

この作品は、徹底的なエンターテインメントでありつつ、筆者の医療現場やこの社会に対する想いも、いろいろなキャラクタの言葉を使いながら語られており、熱い主張もギュウギュウに詰まっている。
その真摯な想いはときに、これは小説内世界の言葉なのか、読者へ向けた筆者の言葉なのか、判然としないこともあるほどで、その瞬間、正直なところ小説として(作品世界を真っ当するという意味では)ちょっと破綻している部分もある。

だがそのくらいでいいのだと思う。
いわゆる普通の文系作家は、物語というものへの愛着が強く、語り口や文体へ極端なこだわりがあり、その小説ならではの雰囲気の漂わせ方に陶酔して筆をとっているように思える部分がある。
それに比べ理系作家(と勝手にカテゴライズするけど)の東野圭吾や森博嗣、そしてこの海堂尊なんかは徹底的にそこはドライである。過不足なく物語が紡げればよく、そして物語の中にこそ語り対言葉があり、そこに叙情があればいいと思っているように感じる。
どちらがいいと言うわけでもなく、それぞれいいところはいい。

あと、これはぜひ書いておきたいことですが、ここまで3作読んだ限り、海堂尊は基本的に読後感のよいエンタメ作家です。
いま、僕の印象として最も売れている印象がある作家は東野圭吾なのですが、この人はごく一部の作品を除いてそんなにハッピーエンディングな作品がないと思っていて、この人がここまでドカンと売れていることが、その点で個人的にはちょっと不思議なわけです。
読書大好きな人の中にも、意外とバッドエンディング嫌いが多い気がしているので、ちょっと書いておきました。

ちなみにこの「ジェネラル・ルージュの凱旋」は、その前作「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行で経過する物語で、それぞれのエピソードが微妙にからみ合ってもいる。
「チーム・バチスタの栄光」も白鳥登場までとその後で、別次元の位相へ展開する構造的なダイナミクスが面白かったけれど、今回は2作に渡る仕掛けがあったわけで、この辺の組み立ての上手さもこの作家の才能の凄さを感じさせてくれるところかと思いますl。


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