痛いのは、心じゃなく僕らでいい。 いたいから、僕らはまた別れ、もう一度、出逢うんだよ。
部屋に戻ると、昼食が届いていた。
白粥。梅干し。野菜と油揚げの煮もの。白身の何だか大きな魚の切り身。しょうゆで煮付けてある。
見ているうちに、おれの中でなんだかなつかしい感覚が頭をもたげてきた。
はて、この感じは何なのだろう。長い間忘れていた、この切ない感覚。
「これは、食欲だ」
「あたしは、自分とおんなじ人たち、生きようとしても運悪く死んでしまう人たちのなかで、生きたいの。生きる意志を杖にして歩いていく人たちの流れの中にいて、そんな人たちのためだけに泣いたり笑ったりしたいの。だから、思い出になってまで生き続けるために、死をたぐり寄せる人たちと関わりたくないわ。そんな時間はないんですもの」
「なおる奴もいりゃ、死んでく奴もいたよ、私は、なんとか助けてやりたいと思った。ことに子供の患者はな。そうだろ? 子供なんてのは、人生の中で一番つまらないことをさせられるんだからな。私だって十七までに面白いことなんか何ひとつなかった。面白いのは大人になってからだ。ほんとに怒るのも、ほんとに笑うのも、大人にしかできないことだ。なぜなら、大人にならないと、ものごとは見えないからだ。小学生には、壁の棚の上に何がのっかってるかなんて見えないじゃないか。そうだろ?」
「そうですね」
「一センチのびていくごとにものが見えだして、風景のほんとの意味がわかってくるんだ。そうだろ?」
「そうです」
「なのに、なんで子供のうちに死ななくちゃならんのだ。つまらない勉強ばっかりさせられて、嘘っぱちの行儀や礼儀を教えられて。大人にならずに死ぬなんて、つまらないじゃないか。せめて恋人を抱いて、もうこのまま死んでもかまわないっていうような夜があって。天の一番高い所からこの世を見おろすような一夜があって。死ぬならそれからでいいじゃないか。そうだろ。違うかい?」
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Author:kngwayof
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20071111ブログ始めました。
(冷し中華ばりに)
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