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奥田民生ひとりカンタビレ@ダイアモンドホール その2

長丁場のライブに比例して休憩時間は長め。

トイレに行ったついでに、最前列のほうから自席に戻る。ステージ上のデスクでなにやら作業している奥田民生との距離は最高で2.5メートルくらいまで近づく。ここまで肉眼でちゃんと確認できたのは初めてかと。

そして「そろそろ始めますよ」と、なんとなく再開。
ハンドクラップの完成版をポン出し。
「素晴らしい!いまからでも目指したほうがいいよ。プロのハンドクラッパー(笑)」
その手拍子が重ねられたトラックを聴く。多分、普段だったら気付かないほど他の音に比べて存在感のないハンドクラップの音、だけどそれが入っていないバージョンとは曲の情景が全然違う。確かに必要な大切な構成要素。
それはタンバリンにも言えることだし、ギターもドラムもベースも同じこと。1つ1つの音が重ねられていくたびに、少しずつ民生が思い描く音世界が出来上がっていく。
といってもそれは、設計書どおりの機械的作業ではなくて、制作の過程で気まぐれに思いつきで実験を繰り返す、想像力の挑戦のようなものだった。

手指や腕、足を運動させるフィジカルな戦いでもあるはずの楽器の演奏中に民生は、ときに目を閉じ、ときに頭を振り、右脳にもっと動けもっと感じろもっと飛べと、命令しているかのような感じで音を紡いでいく。
と同時にその演奏の一音一音を、冷静にありなしの判断もしている。凄い。


「じゃあ、歌」
とデスクに座ってぐいっとマイクを引き寄せる。いよいよ。
「あとで、完成した曲を聴かせるときには、歌詞を出すんですが、いまは音だけ聴いてください。なんかよく分からない感じで最初は聴くのが、僕は好きなので」
と言って「あー!」(高い)。「あー!」(低い)。「あ~!」(高低差をつけて)。と軽い声出し。
ついにここまで築き上げたトラックの上にボーカルが乗り始める。と、わりと前半でミス。
演奏でも楽器が変わるたびに大体1テイク目はわりと早くにミスしていた。これが民生なりのパフォーマンスを発揮するためのリズムの作り方なのかもと思う。
2テイク目はしっかり歌いきる。顔を紅潮させての熱唱(半分以上アルコールのせいだろうけど)。
当たり前だけどピッチもリズムもグルーヴ感も、全てがめちゃくちゃレベル高い。アウトロ部分のフェイクやシャウトも、軽ーくやっているのに、素晴らしすぎ。
あれだけ想像の出来なかったメロディも具現化してしまえば、民生らしい最初からすんなり耳に届き残るそれだった。BPMが結構早めなのだけど、やっぱりメロディはゆったり。
歌詞もところどころで言葉遊びがあり、ところどころワンフレーズだけ切り出すともの凄くロマンチックだったり、かなり民生印だと僕は感じた。

歌い終わるとすぐに修正したい箇所を選択して歌い直す。ところどころ歌い直して完成。
「ボーカルにちょっとエコーをかけて音になじませます。このくらいか。このくらいいっていいか」
「これだけ(ボーカルのトラック)聴くとあれだけど、オケと合わせると・・・(全部の音を出す)。ね。なじんでいい感じになるんだよ。エコーがないほうがいい曲もあるけど、今回の感じはこのくらいで」
「次は、ハモリ!」
サラーっと練習してサクッと録る。ときどきもとの歌と伸ばす部分に微妙にズレが出たりして合わせなおす。ここも信じられない速度で、きれいに音を作る。ハモリ完成でそろそろ3時間を超えようかという感じに。
「すいませんね。だいぶ長くなってきたな。タラタラやってたら終わらないぞ」
「忘れてた。カスタネットやります」
小指から順に人差し指までを使って器用に4連の音を出す。
録音後、聴きかえしてどうも効果的に聴こえてこないカスタネットに、ちょっと首をひねって考える。
「分かった。ちょっと(観客向けに)流してる音切っていい?そいつを拾っちゃってるんだ。すいません、ここだけちょっと静かにお願いします」
そして、再度音を録りなおしたら満足がいった様子。
「できましたね!」会場拍手。
「今回はわりと単調な作業のわりに、ちょこちょこ音を入れてやって、結局時間がかかってしまいました」
と、この形式を重ねてきたからこその相対的な感想が。もっと民生にとって手探りで新鮮な段階のひとりカンタビレも観ておきたかった感じも。
いやしかし、ほんの数回で、この前人未到のライブ形式に慣れきってしまっている、この人並みはずれた学習能力こそ、民生の民生たる所以とも言えちゃうかなと。
「では、もう一回休憩を入れて、その間にこっちは細かい音の調整をして、出来上がった曲を聴いてもらって、ありがとうございました!と、そういう感じになると思うんで。じゃー休憩!」

前の休憩もそうだったけど、開場時に配られた質問用紙をスタッフが回収して会場内を回る回る。
あと結構な密度の状態で飲食OKになっているせいか、かなり多くのスタッフがゴミの回収などに歩き回っていた。

「結果的にタラタラした感じになってしまって。みなさんの貴重な時間を、申し訳ございませんっした」
いやいや全然。どちらかというと緊張感あって、目が離せないエンターテインメントでしたよ。

「いくつか質問に答えていきますか」
と、質問用紙をガサッとデスクにぶちまけてより分けはじめる。
「斉藤有太とは誰ですか(笑)」会場騒然。
「昔の名のあるミュージシャンです。GSとかのころのね」会場笑。
「というのは、嘘で。一緒にツアーを回るバンドのキーボーディストです」
「ドラムを10本のマイクで録っていましたが、1本じゃダメでしょうか。全っ然いいですよ。こんなにいらないからね。バスドラとハイハットと真ん中辺と3つでもいいし。まあもうちょっと増やすなら・・・」
と7本のパターンやさらに他のパターンなどをいろいろ説明。聴いていて「そうか、なんでもいいんだ」と理解したのは僕だけではないだろう。
「タンバリンさばきはどこで習得したのですか。習得って(笑)・・・えーニューヨークです」
「ボーカルのマイクの角度はなにか意味があるのですか。ないです。どういう感じでもいいです。ちょうどこう、マウスをカチッとして音を出して、歌詞をみながらこう歌うと、この角度になるってだけです」
「(ドラムの音を録る用のマイクを指し)これボーカルのレコーディングの映像とかで見かけるでしょ。これはスゲー高い。これの前にストッキングみたいなのがあって、みんな歌ってるじゃないですか。今回の歌用のは安いからね。1万とか。あっちのでやるときもあるけど、歌はこれで十分」
「ギターを始めたばかりです。ヘッドフォンは何がおすすめですか」ゆっくりと自分がしている別注ヘッドフォンを掲げる。会場大拍手。
「これです。これSONYのでレコーディングスタジオには大体これです。世界中大体これ。音をそのまま聴けるので。普段音楽聴くときは加工されてていいと思うけど。レコーディングではそのまんまの音が聴けないとダメでしょ」

と言う感じで、音楽を好きな人には、一言一句が興味深くその言葉の裏側のリアルで深いニュアンスまで感じとりたくなるとても貴重な質問タイムだったのではないかと。
あと民生もほんと饒舌で、やりたかったことなんだろうなと思った。

「お待たせしました。タイトルは『Room 503』。まあカラオケのことを歌った曲ですね。では、どうぞ」

モニターに黒地に白い文字でタイトル、そして歌詞を表示しながら今まさに目の前で録られていっていた音が流れ出す。

もうすでに楽曲への愛着が湧いている。
まだ出来上がる前に、生の歌声でこのメロディを聴いている。
歌が乗る前に、このトラックを構成する多くの音を一つ一つ聴いている。
自分はどんな風に演者が音を録っていったか、その過程を知っている。
それはとても不思議な感動だった。
それは感じたことのない興奮だった。

「ありがとうございました!」
強く長く続く拍手。
「僕はこのまま引き続き作業してるんで。お気をつけて」
演者がステージに居続けてるのに会場を出て行くって、かなりしづらい。とはいえ、時刻は22時30分になろうかというところ。正味4時間。事前の音作り等の準備からしたら民生はどれだけの時間と精神力と体力を消耗しただろう。
もう一度、ステージ近くまで接近して、スタッフと会話しながら作業を続ける民生を間近でもう一度だけ観て、会場をあとにした。


思っていたとおり、いままで観たことのない、ありえないライブイベントでした。
いろんな意味で、絶対に民生にしかできなかっただろう企画だと思った。

凄くいろんな意味で面白かったし、それの多くが普段音楽を聴くときのそれや普段ライブを観るときのそれとは異なる面白さだった。

民生からの若いミュージシャン達への叱咤激励という側面もあったし、音楽配信などのいまの音楽業界への民生からのユニークな回答ともいえるし。

民生にとって最初のひとり股旅ツアーと同じくらいの音楽修行であったことは間違いないと思う。
普通の若手ミュージシャンにはどうあがいても出来なそうだし、熟練のベテランはそんな発想すらないだろうし。
これをやろうと思って実行できる民生の才能と情熱の凄まじさと、その無茶振りを具現化するスタッフの素晴らしさ。
全てに感謝。



そして、民生は、どこへ行く。
どこまで行けるんだろう。
いつまでもいつまでも永久機関のように、際限なく、遥かな道を、独得の道を、はじまったまま、ころがったまま、彼方へ、突き進めるのだろうか。

どこかで丸くなったり、どこかでレイドバックした渋いおっさんミュージシャンになっていっても全然いいと思っていたけれど、全然本人にその気がないのだから、ほんとどうしたことだろう。
45歳にして、ここまでの飛距離で、また最高到達点を伸ばしてしまう、この際限のなさを目の当たりにして、ちょっと眩暈がするような想いに囚われてしまった。

凄いぞ、民生。
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